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ペロブスカイト型金属酸化物薄膜表面の二次元電子状態:走査トンネル顕微鏡/スペクトロスコピーによる電子状態評価

講師
一杉 太郎 教授 (東京工業大学 物質理工学院)

日付
2016年5月19日(木)

時間
11:00-12:00

場所
本館2階 H284A 物理系輪講室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (641.6 KB)

内容
 酸化物の最大の魅力は“多機能性”である1)。その機能の源泉を原子空間分解能で明らかにしたいという一念で、この8年間突っ走ってきた。そして、ようやく最近になり、原子を観る、あるいは、原子レベルで電子状態を探るという点で自分自身が納得できる結果が得られてきた。
 そこで本講演では、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いてペロブスカイト型金属酸化物薄膜表面の電子状態を探った結果を総合的に報告する(下図参照)。特に、d 電子が織りなす、二次元的な電子状態に焦点をあてる。本研究は、岩谷克也、大澤健男、清水亮太、岡田佳憲、白木將、濵田幾太郎、安藤康伸、渡辺聡 博士の方々との共同研究の成果である。また、科研費、JST さきがけ、文科省WPI の支援を受けた。

 様々なペロブスカイト酸化物薄膜の走査トンネル顕微鏡(STM)像(測定条件の詳細は省略)。LaAlO3の研究では酸化物薄膜成長の様子が明らかになった。また、La0.7Ca0.3MnO3では表面のMnO6八面体の変形が金属-絶縁体転移を引き起こすことが、そして、SrVO3では、バルクは等方的な三次元結晶にもかかわらず、最表面で二次元電子系が電子干渉を起こしていることがわかった。

連絡教員 物理学系 平原 徹(内線2365)


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