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赤外デュアルコム分光計の開発

講師
岩國 加奈 氏 (Max Planck Institute of Quantum Optics)

日付
2016年5月31日(火)

時間
15:10-16:10

場所
南5号館 5階 503CD会議室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (231.3 KB)

内容
 光コムは高い周波数安定度と広帯域特性を持ち合わせ、近年は精密分光には欠かせない装置となっている。特に、広帯域特性を利用した光コムを光源とする分光計は、分子の振動バンド全体を一度に取得でき、分子分光分野に大きく貢献すると期待される。光コムは繰り返し周期が一定なパルスレーザーの出力で、多くの縦モードが等間隔に並んだスペクトルを有する。また、各縦モード周波数は高精度で決定できるので、光コムを分光光源とすると絶対周波数が値づけられた分解能100 MHz程度の広帯域スペクトルを短時間で取得できる。光コムの高分解特性を利用するには、光コムの縦モードを分離して検出する必要があり、そのための方法の一つがデュアルコム分光である。デュアルコム分光計は繰り返し周波数がわずかに異なる2台の光コムを光源として用いたフーリエ変換分光計で、簡便さと幅広い応用の可能性から、可視からテラヘルツにわたる領域で盛んに研究されている。この分光計では2台のコムを干渉させてインターフェログラムを記録し、それをフーリエ変換してスペクトルを得る。そのため、2台の光コムの相対的な位相安定度が重要である。高い相対安定度を得る手法がいくつか開発されており、本講演ではモード同期ファイバーレーザーあるいは電気光学変調器型光コムを用いたデュアルコム分光計をそれぞれ紹介する。

連絡教員 物理学系 金森 英人(内線2615)


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