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トポロジカル秩序と量子エンタングルメント

講師
古川 俊輔 氏 (東京大学 大学院理学系研究科)

日付
2016年11月1日(火)

時間
14:00-17:00

場所
本館2階 H284B 物理学系輪講室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (237.2 KB)

内容
 自発的対称性の破れと局所的秩序変数、繰り込み群による粗視化に基づくLandau-Ginzburg-Wilsonパラダイムは、数多くの系の相の分類と相転移の記述に成功を収めた。しかしながら、このような枠組みでは捉えることのできない相の存在が見いだされ、「トポロジカル相」として注目を集めている。その中で、対称性を課した下で自明な状態(積状態など)と断熱的に繋がらない相は「対称性で保護されたトポロジカル相」と呼ばれ、Z2トポロジカル絶縁体などが含まれる。一方、何の対称性も課さない下でも自明な状態と断熱的に繋がらない相を「トポロジカル秩序相」と呼ぶ。トポロジカル秩序相の例としては、量子スピン液体や分数量子ホール状態が挙げられ、次のような性質を共通に持つ:
(i) 基底状態が、系の定義される空間のトポロジーに依存した縮退度を示す。
(ii) 縮退した基底状態は局所的秩序演算子によって区別がつかない。
(iii) 電荷やスピンが分数化した素励起が現れる。
これらの特異な性質の背後に統一的な見方が存在するか興味が持たれる一方、このような性質を含有する基底状態の波動関数には特異な量子エンタングルメントが存在すると期待される。
セミナーでは、基底状態の縮約密度行列、量子エンタングルメントに基づき、トポロジカル秩序が通常の秩序とどう異なっているか、トポロジカル秩序を特徴づける情報をどのように得ることができるかについて、近年の発展と私の関わった研究を交えながら紹介する。

連絡教員 物理学系 西田 祐介(内線3614)


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