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CMS実験で探るヒッグス粒子の知られざる顔

講師
飯山 悠太郎 氏(CERN (European Organization for Nuclear Researc))

日付
2018年12月5日(水)

時間
15:00-

場所
本館1階 156 物理学系輪講室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (348.9 KB)

内容
 我々の住む宇宙には暗黒物質の存在など、現在の素粒子標準模型で説明できない現象が複数あることが知られている。欧州素粒子原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において未知の粒子が発見され、これらの現象を解明する鍵となることが期待されているが、現在のところその兆候は見られていない。一方、2012年に発見されたヒッグス粒子は、その特殊な量子数ゆえに、未知粒子と直接結合する唯一の標準模型粒子である可能性がある。そのような結合は、標準模型で予測されないヒッグス粒子の新たな崩壊モードを引き起こしうる。LHCではATLAS・CMS実験それぞれでこれまでに700万個以上のヒッグス粒子生成事象が発生したと考えられ、この大量のデータから様々なヒッグス非標準崩壊を探る試みが進んでいる。また、ヒッグス粒子崩壊を調べる際に重要になるのが、ベクトルボゾン融合(VBF)と呼ばれるヒッグス粒子生成モードである。このモードを効率よく捉える方法についても、活発な研究が行われている。
セミナーではヒッグス非標準崩壊探索を概観し、CMS実験でのこれまでの探索結果を議論する。また、2026年に始まる高輝度LHCにおいてVBF識別の切り札となりうる新型のCMSカロリメーターの開発状況も併せて紹介したい。
(トークは日本語で行います。)

※ CMSとATLASの両実験は、LHC加速器内の衝突点に設置した各々の大型汎用検出器を用いて陽子・陽子衝突を観測し、標準模型の検証、及びそれを超える新しい物理の研究を行っている。

連絡教員 物理学系 陣内 修(内線2080)


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