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量子分岐マシン: カー非線形パラメトリック発振器を用いた量子コンピュータ

講師
後藤 隼人 氏(東芝研究開発センター主任研究員)

日付
2018年12月17日(月)

時間
13:30-15:00

場所
本館2階 284B 物理学系輪講室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (349.3 KB)

内容
 我々は、大きなカー非線形性を有するパラメトリック発振器(Kerr-nonlinear parametric oscillator, KPO)を基本素子とした量子コンピュータを理論的に提案した[1-3]。KPO は、パラメトリック励起振幅を徐々に大きくして真空状態から発振状態へと断熱的に変化させることで、2つの安定な発振状態の量子力学的な重ね合わせ状態(シュレディンガーの猫状
態)を生成する。我々はこれを「量子断熱分岐現象(quantum adiabatic bifurcation)」と呼ぶ。上記の量子コンピュータはこの現象を基礎としていることから、我々はこの新規量子
コンピュータを「量子分岐マシン(quantum bifurcation machine, QbM)」と呼ぶ。
 QbM は、断熱量子計算に基づいてイジング問題を解くイジングマシンとして提案された[1]。その後、断熱変化を利用した量子ゲート操作によってユニバーサル量子計算にも使えることがわかった[2]。散逸を伴うQbM は、複数振動子系に拡張された量子加熱(quantum heating)を示し、量子ボルツマンマシンとしての応用も期待される[4]。
 本セミナーでは、KPO およびQbM の物理について解説する。

[1] H. Goto, Sci. Rep. 6, 21686 (2016).
[2] H. Goto, Phys. Rev. A 93, 050301(R) (2016).
[3] H. Goto, arXiv:1808.10609.
[4] H. Goto, Z. Lin, Y. Nakamura, Sci. Rep. 8, 7154 (2018).

連絡教員 物理学系 高橋 和孝


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