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トポロジカル秩序と有限密度QCD

講師
広野 雄士 氏 (Asia Pacific Center for Theoretical Physics (APCTP), South Korea)

日付
2019年1月15日(火)

時間
13:30-15:00

場所
本館2階 239 物理学系輪講室

添付ファイル
PDF   ダウンロード (338.6 KB)

内容
 有限密度QCD物質の相構造に関する仮説のひとつに「クォーク・ハドロン連続性」[1]というものがある。その内容は、クォークがペアを組んで凝縮するカラー超伝導相と、中性子などの核子の対凝縮に伴う超流動相が、相転移なしに連続的に繋がっているのではないか、というもので、2つの相が局所的な秩序変数でみたときに同じ対称性を持っているという事実に基づいている。しかし、局所的な秩序変数では検出できない秩序もあることが知られている。これはトポロジカル秩序[2]と呼ばれ、分数量子ホール系やs波超伝導がこの秩序を示す物理系の例である。トポロジカル秩序のある状態は、分数的な励起や、時空のトポロジーに依存した基底状態の縮退を伴っており、異なるトポロジカル秩序を持つ状態の間には相転移が必要となる。このトークでは、トポロジカル秩序の可能性を考慮に入れたときに、この「クォーク・ハドロン連続性」仮説がどのように影響を受けるのかを議論する[3]。

[1] T. Schafer and F. Wilczek, Phys. Rev. Lett. 82 (1999) 3956-3959.
[2] X. G. Wen, Int. J. Mod. Phys. B4 (1990) 239.
[3] Y. Hirono and Y. Tanizaki, arXiv:1811.10608.

連絡教員 物理学系 西田祐介(内線3614)


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