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量子アニーリング装置によるKibble-Zurek機構の量子シミュレーション

講師
西森 秀稔 教授(東京工業大学 科学技術創成研究院、物理学系兼担)

日付
2020年3月19日(木)

時間
14:00-15:00

場所
ウェブ上のバーチャルセミナーZoom Webinarです。参加登録はこちらから。

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内容
 D-Wave量子アニーリングマシンを最適化装置としてではなく量子シミュレータとして使って、非平衡相転移に関するKibble-Zurekの理論を実験的に検証した研究です。中止になった日本物理学会年次大会やAPS March Meetingで共著者が発表するはずだった内容です。

【研究のねらいと方法】
- 非平衡相転移に関わるKibble-Zurek理論を実験的に検証する。
- 人工的な量子デバイスであるD-Waveの量子アニーリング装置で実験を実施。
- D-Waveマシンを量子シミュレータとして用いて、その性能と限界を明らかにする。
【分かったこと】
- 量子ビットが環境と相互作用しているとすると、実験結果はKibble-Zurekの理論でほぼ説明できる。
- 環境との相互作用がない系について構築された一般化Kibble-Zurek理論が、環境と相互作用している系に対しても成立している。量子シミュレータにより、理論がその適用範囲を超えて成立することが明らかになった最初の例である。
- 欠陥の分布のデータはガウス分布に近く、D-Waveマシンを機械学習のボルツマンサンプラーとして使うのは、少なくとも1次元系については慎重に。

【参考文献】
Y. Bando et al, arXiv:2001.11637


連絡教員:西森秀稔(nishimori.h.ac@m.titech.ac.jp)


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