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斎藤研究室


斎藤 晋
研究テーマ 物性予言と物質設計
ホームページ http://www.stat.phys.titech.ac.jp/saito/
連絡先 内線: 2070
E-mail:saito at stat.phys.titech.ac.jp
研究内容
現実物質のある物性を解明するには、自然に真摯に相対すること、権威・通説に関して慎重であること、さらに、基本からの理解を心がけることが必要です。そして、理解が十分なレベルに達した場合、新たな物性予言、即ち、系のパラメータを変化させた場合の振る舞いを実験に先立って予測することが可能となります。(逆に、予言できない場合は、理解が不十分とも言えます。)その先に、物質設計というもう一つの目標があります。
研究詳細
物質の基底状態を記述する理論として誕生した密度汎関数法は、現在、物質の励起状態を記述する手法としても注目を集め、進化を続けています。当研究室では、時間依存密度汎関数法の研究展開を進めています。また、密度汎関数法による物質研究として、共有結合元素からなる固体系・クラスター系の研究を展開しています。ダイヤモンドは最も硬い物質として知られています。他方、鉛筆の芯として用いられることから分かるように、グラファイトは、非常に柔らかい物質です。この両者は同じ炭素原子のみからなる同素体です。両者の違いは、原子間の結合ネットワークトポロジーにあります。近年、サッカーボール型のC60に代表される籠状炭素クラスターであるフラーレン、さらには、1次元物質であるカーボンナノチューブが、新たな炭素同素体として発見されました。そして、それらが多様な物性を示すことが理論的に予言され、実験研究を刺激して研究が展開されてきました。現在では、21世紀を支えるナノサイエンス・ナノテクノロジーの最重要物質として位置付けられています。ニュートンは、長い期間、錬金術研究に没頭しましたが、ネットワークトポロジーを利用した現代の錬金術と位置付けられるのが、これら、炭素をはじめとする共有元素ネットワーク物質系の研究です。その物性解明と新物性予言、そして、それらを構築単位とした新物質の設計を進めています。
学生に一言
基本原理から物事を理解することに興味がある人、「なぜ?」あるいは「どうして?」とよく考えることがある人に向いている分野です。また、空想好きなことも、物質設計には望ましい要素です。もちろん、注目されるデータを示せば認められる実験とは異なり、自分の仕事の意義を説明する力、即ち、論理的思考力、語学力(日本語も含む!!)、さらには、客観的に見る力や判断力も、ある程度求められます。
メンバー紹介
助教:是常 隆

博士課程:山上 雄一郎

修士課程:上野 裕亮、加藤 幸一郎、櫻井 誠大

卒業研究:塚越 隆行
学生の声
斎藤研究室では、フラーレンやカーボンナノチューブをはじめとした新物質について、各々の独自の研究テーマを研究していきます。週に一回の教授とのディスカッションも含めた先輩や助手との交流や、端末等の研究設備も恵まれていることから、自分のがんばり次第で存分に研究ができる環境だと思います。研究内容も将来の科学技術の可能性に繋がる意味でとても面白いものです。興味がありましたら、気軽に見学にいらして下さい。