DEPARTMENT OF PHYSICS, TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY 東京工業大学 理学院 物理学系
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1年次学生に向けて 就職担当教員 今村洋介 大熊哲


卒業生の進路先情報
物理学系では、学部4年から就職する人は少数で、ほとんどの人は皆大学院に進学するのが最近の傾向でした。したがって就職活動をするのはたいていの場合、大学院生になってからです。
就職活動に際して、学生が一番とまどうのは、大学での成績と企業による人物評価が一致しない、というよりも、評価の基準が違う、ということです。企業からの要求には、積極性・表現力・説得力・技術革新への意欲、さらに言えば文科系の素養などが含まれるので、大学の試験やレポートで得た成績とは異なるのはむしろ当然でしょう。紙の上に書いた答案で評価されるのは、大学までで、それ以降は、面接の質疑応答によって評価が決まる、というのも重要な点です。
就職のためばかりではなく一般に、大学生のうちに、学年がすすむにつれて勉強のスタイルを適切に変えていくことが大切だと思います。私が物理学系のクラス担任をしていたときにも、高校・大学1年・大学2年以降と順次成績が下がってしまった、とある学生から相談を受けたことがありますが、よく聞いてみると高校の頃とほとんど変わらないやり方でまじめに勉強している人でした。つまり、自分ひとりで本を相手にして、ほとんど孤立して勉強をしている人でした。
大学生になって早いうちに、人と議論をして勉強をすすめる、というスタイルを身につけるとよいと思います。自分で理解しているだけでは不十分で、他人に説明して納得させることができなければなりません。そういう意味では、物理などは、同じ分野の人ばかりでなく、文科系の人を相手に説明するとよいと思います。東工大の中では、なるべく物理とは離れた分野の人に相手になってもらうとよいでしょう。
本を1冊読んだら他人に、自分はその本の内容をどう理解したか、その本をどう評価するか、などを伝える習慣をもつことが大切だと思います。自分一人で読むだけだと、批判的に読むことが難しいからです。 さらには、次第に本から学ぶより、他人と議論したことから学ぶことの方が多くなります。
実際、教科書などに書いてあることは、十年以上も前に解決したことが主なので、それだけでは足りなくなってきます。
皆さんが就職をするまでにはまだ何年もあるので、現在の動向を追うよりも、上に述べたような基本的な問題について考え、自分なりの勉強の仕方を身につけることを勧めたいと思います。
東京工業大学 理学院 物理学系